袖壁による多層的ワンルーム
若い夫婦が暮らすためのマンションの1室のリノベーションである。
既存は50㎡程度の東西に細長い特徴的な間取りで、遠くには富士山まで眺められる眺望のいい部屋である。
風の抜けも申し分なく、この部屋を取り巻く環境を存分に取り入れることを考えた。
また施主は身の回りのあらゆるものをDIYする趣味があり、この部屋の完成後も棚や家具までつくることが前提にあった。
そこで我々は、手が加えられモノや家具が溢れていっても全体が混在しないための秩序を袖壁によって設定しようと考えた。
さらに袖壁は場をゆるやかに分節しながら、隠れ蓑となる居場所をつくりだす。
それにより細長いワンルームでありながら、さまざまな領域が関係をもち奥行きのある全体性を生み出している。
既存では部屋をつくっていた壁を袖壁に変換するだけで、コンテクストや施主の特徴を一度に射抜いた住環境に再構築することを考えた。
プロデュース:スマサガ不動産
設計監理:Camp Design inc. + スマサガ不動産
施工:河行工務店
写真:川村麻純